1.光合成細菌とは
太陽エネルギーを利用して生育する細菌で、酸素を必要とせずに光合成を行います。26億年前から地球上に生息したとされ、自然界で大きな役割を果たしてきた細菌です。水田や河川、土壌中のいたるところに広く分布し、土壌中の硫化水素や二酸化炭素(CO2)を栄養分として活動し、その代わりに植物や他の有用微生物の餌となるアミノ酸やATP、ADPなどを分泌する微生物です。
2.光合成細菌の畑への利用
植物の花芽形成や着果のときなど、生殖成長に必要なアミノ酸のプロリンや核酸のウラシル・シトシンの合成が体内で増えます。光合成細菌が分泌するアミノ酸にはプロリンが多く、菌体にはウラシル・シトシンも含まれています。このアミノ酸・核酸の効果も加わり、作物の収量や糖含量の増加につながります。また、光合成細菌の赤い色の元、カロテノイド色素は分解されたのちに作物に吸収され、着色やツヤを良くする効果があります。
根の燐酸吸収力を高める
光合成細菌の葉面散布により葉の光合成活動が高まり、その伝達を受けて根の生長が促進され活性化します。長く活発で分泌物を多く出してくれる根は、結合して動かない燐酸まで届き十分に吸収することができます。
土壌微生物を活発にし、燐酸を溶解化
光合成細菌の菌体は、豊富なたんぱく質とアミノ酸でできています。菌を根圏に直接注入することにより、それを基質(餌)として土壌の有用菌が増えます。増えた有用菌は土壌のイオン調整を行い、燐酸を溶解することができます。
完熟堆肥などの有機物と併用すると、燐酸溶解に更に効果的です。
3.農業利用での効果
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菌の合成するアミノ酸、有機酸、糖類などによる土壌の沃土化
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有機物(堆肥)投入量の削減
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作物に必要な微量要素肥料の提供
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着花の促進
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果実および花の甘味・着色・鮮度保持の向上
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放線菌を増殖し連作障害を阻止
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日照不足においての生育維持
4.好気性菌との併用が最も効果的
光合成細菌の菌体は、豊富なたんぱく質とアミノ酸でできています。菌を根圏に直接注入することにより、それを基質(餌)として土壌の有用菌が増えます。完熟堆肥などの有機物と併用すると、菌体が持つ豊富なタンパク質(アミノ酸)を基質(餌)として放線菌などの土壌微生物が爆発的に増えることでピシウム菌やリゾクトニア菌などの病原菌から根を守ることができます。また、増えた有用菌は土壌のイオン調整を行い、燐酸を溶解することができ更に効果的です。
土壌灌水
①元肥施用時または定植後の潅水に併用
光合成細菌50~100L(1000㎡あたり)を潅水します。
②追肥施用時の同時潅水または生育期間中、月2回の潅水
20~40 Lの光合成細菌を10aに100倍程度に希釈して流し込みます。